【元税理士法人スタッフが解説】記帳代行の依頼を考えている個人事業主の方へ:メリット・デメリットと失敗しない選び方
もしかして・・・
記帳業務が「本業の足かせ」になっていませんか?
個人事業主の皆様、日々の事業活動、お疲れ様です。
売上を伸ばすための営業や商品開発に集中したいのに、「経理・記帳作業」が重荷になっていませんか?
特に、初めての確定申告を控えている方や、事業規模が拡大してきた方は、記帳業務に費やす時間と労力は大きな負担となるでしょう。
そこで検討したいのが「記帳代行」の依頼です。
この記事では、税理士法人で勤務した経験を持つ私が、記帳代行を個人事業主が利用する際のリアルなメリットとデメリットを徹底解説します。記帳代行選びで後悔しないためのポイントもお伝えしますので、ぜひ最後までお読みください。
1. 記帳代行を依頼する3つの大きなメリット(元スタッフが実感)
記帳代行をアウトソーシングすることで得られるメリットは、単に「手間が減る」だけではありません。事業の成長に直結する大きな効果が期待できます。
メリット1:本業へ集中できる「時間」と「精神的余裕」の獲得
記帳代行を依頼する最大のメリットは、「時間を生み出す」ことです。
領収書の整理、会計ソフトへの入力、月次の集計...これらの作業は、月に数時間〜数十時間を要します。この時間を本業(売上につながるコア業務)に充てることで、時間対効果は最大化されます。
また、「記帳ミスしていないかな?」「確定申告に間に合うかな?」といった経理への精神的なストレスからも解放され、経営者としての判断に集中できます。
【じつは・・・元税理士事務所スタッフでも経理は億劫でした】
私は税理士法人で働いていた経歴があり、記帳の知識は人一倍あると自負していました。しかし、いざ自分が独立し、経営も兼任する立場になると、自分の事業の経理が一番おっくうになるのです。
自分の仕事が終わった後、深夜にたまった領収書と格闘する日々。「経理のプロである自分が、つい後回しにしてしまうほど億劫なのだから、会計知識のない経営者の方はもっと大変だろう」と痛感しました。
私は現在も自分の記帳を自力で行っていますが、その度に、時間を浪費している感覚に襲われます。だからこそ、記帳作業は外部に任せることで、空いた時間を本業の生産性向上に充てることこそが、トータルで見たときに最大の利益を生む賢い選択だと、強く確信しています。
メリット2:正確性の向上と税務リスクの低減
個人事業主が自力で記帳を行う場合、勘定科目の間違いや入力漏れといったミスは避けられません。特に、複雑な取引や固定資産の処理などは専門知識が必要です。
税理士事務所などの専門家に依頼すれば、正確でミスのない記帳が保証されます。これにより、税務調査のリスクが減少し、意図しない追徴課税などのペナルティを防ぐことができます。
メリット3:人件費をかけずに「プロの経理体制」を構築
事業規模が拡大しても、すぐに経理担当者を雇用するのは難しいものです。人件費や社会保険料、教育コストなど、多くの費用と手間がかかります。
記帳代行を利用すれば、雇用コストなしに、税務のプロがチェックする高品質な経理体制を安価に構築できます。これは、将来的に経理担当を雇うまでのブリッジとしても非常に有効です。
2. 知っておくべき3つのデメリットと対策
しかし良いことばかりではありません。記帳代行を依頼する際には、必ず知っておくべきデメリットと、それに対する対策があります。
デメリット1:リアルタイムの経営状況が把握しづらい
記帳代行の多くは、資料(領収書など)をまとめて提出し、そこから記帳を行うため、帳簿が完成するまでにタイムラグが生じます。
- 【対策】 帳簿の締日と提出期限、納品までの期間を契約時に確認しましょう。また、クラウド会計ソフトに対応している業者を選べば、記帳完了を待たずにリアルタイムに近い数字をいつでも確認できるようになります。
デメリット2:継続的なコスト(費用)が発生する
当然ながら、記帳代行には毎月費用が発生します。特に開業間もない頃は、この出費が負担に感じるかもしれません。
【対策】 コストを単なる「出費」ではなく「時間と正確性の確保への投資」と捉えましょう。本業で生み出せる利益増加分や、人件費、税務リスク回避コストと比較して費用対効果を判断することが重要です。
デメリット3:社内に経理ノウハウが蓄積しない
記帳作業を丸投げすることで、経理の知識が社内に残りにくくなります。将来的に自社で経理を行いたいと考えた場合、立ち上げに苦労する可能性があります。
【対策】 依頼する記帳代行業者や税理士と積極的にコミュニケーションを取りましょう。また、専門家に依頼することで、領収書の提出方法や処理方法が初期の段階から体系化されます。これにより、将来的に経理担当者を採用する際の引継ぎや教育がスムーズになるという副次的なメリットも得られます。
3. 失敗しない!記帳代行の依頼先と選び方のポイント
記帳代行の依頼先は大きく分けて「税理士事務所」と「記帳代行専門業者(代行会社)」の2種類があります。
元税理士事務所スタッフから見た「選び方の重要ポイント」
税務申告まで依頼したいか?
記帳だけでなく、そのまま確定申告(申告書の作成・提出)も依頼したい場合は、必ず税理士資格を持つ事務所(または提携している業者)を選びましょう。記帳代行専門業者には税理士法で申告代行ができない場合があります。料金体系の明確さ(仕訳数の確認)
料金は「仕訳数(取引の数)」に応じて変動することがほとんどです。あなたの事業の平均的な仕訳数を把握し、それを超えた場合の追加料金まで明確に確認しましょう。クラウド会計ソフトへの対応
freeeやマネーフォワードなどのクラウド会計ソフトに対応している業者を選ぶと、資料のやり取りがスムーズになり、リアルタイムでの数字確認もしやすくなります。数字の「見方」までサポートしてくれるか?
単に記帳を完了するだけでなく、作成された月次試算表や損益計算書をもとに、「今月の売上構成」「コストが急増した要因」など、経営判断に役立つ簡単なレポートやアドバイスを提供してくれるかを確認しましょう。これにより、依頼費用以上の付加価値を得ることができます。
まとめ:賢いアウトソーシングで事業を加速させよう
記帳代行は、個人事業主や設立直後の経営者にとって「経理業務を専門家へアウトソーシングし、最も大切な本業に集中するための戦略的な手段」です。
あなたの事業の成長を止めないためにも、記帳代行の依頼を真剣に検討してみてはいかがでしょうか。
【お気軽にご相談ください】
私自身、税理士事務所での豊富な実務経験と、実際に経営者として記帳の苦労を経験してきた視点を持ち合わせています。
「自分の事業規模だといくらくらいが適正?」「どんな資料を用意すればいい?」といった具体的なご相談があれば、記帳代行業者として活動している私にお気軽にご相談ください。あなたの事業に最適な形で経理の負担を解消するお手伝いをさせていただきます。
【当ブログの読者へ重要なこと】
当ブログで提供する「税金」「経理」「会計」に関する情報は、一般的な知識の整理および実務経験に基づいたノウハウの共有を目的としております。
個別の税務相談、具体的な申告書の作成、税務判断の代理を行うものではありません。 実際の税務処理や節税策の適用については、必ずご自身の責任のもと、税理士または所轄の税務署にご相談ください。
