【経営者必見】旅費規程は賢い節税対策!税務調査で「指摘されにくい」旅費日当の作り方と3つのポイント
その出張費、経費だけになっていませんか?
社長であるあなたの出張経費。交通費や宿泊費を精算する際、領収書のない細かな費用(出張中の食事代、雑費など)は、実費として計上できていますか?
多くの企業経営者が活用しているのが、「旅費規程」に基づき支給する「旅費日当」の仕組みです。これは、非課税で受け取れるお金を会社側が経費として計上できる、非常に賢明な経営戦略です。
しかし、その運用方法を間違えると、税務調査で「給与」と見なされ、遡って課税されるリスクがあります。
本記事では、記帳代行と経営コンサルティングを手がける私が、旅費規程の節税メリットから、税務調査で指摘されにくいための具体的な作り方と3つのポイントを解説します。
💡【注釈】旅費日当が非課税となる根拠
旅費日当が非課税となるのは、所得税法第9条第1項第4号および所得税法施行令第20条の2に基づいています。
これらの条文では、給与所得者が職務のために旅行をする際に、通常必要と認められる範囲内の旅費(日当、宿泊費など)については、非課税所得として所得税を課さないことが規定されています。
したがって、この「通常必要と認められる範囲内」という条件を満たすように旅費規程を作成・運用することが、税務上の合法的な非課税メリットを享受する上での鍵となります。
1.旅費規程(旅費日当)が「賢い節税」である理由
旅費規程に基づき支給される旅費日当が「賢い」と言われる理由は、会社と個人の双方にメリットがあるからです。
給与として支給すれば税金がかかるところを、旅費規程を経由することで非課税で渡せるため、会社のキャッシュアウトを抑えながら、役員・従業員の手取りを実質的に増やすことが可能です。
2.税務調査で「指摘されにくい」旅費規程作成の3つのポイント
旅費規程を有効な節税対策とするためには、「整備された規程があること」と「実態に見合った運用」が必須です。特に税務調査で指摘されにくいように、以下の3点を徹底しましょう。
ポイント1:日当の金額に「社会通念上の妥当性」を持たせる
最も重要かつ指摘を受けやすいのが「日当の金額」です。
高すぎる金額は要注意 同業他社や同規模の会社と比べて、あまりにも高額な日当を設定すると、「実質的な給与」と判断され、否認されるリスクが跳ね上がります。
妥当な水準の目安 日当の金額設定は、会社の規模や業界慣習によりますが、国家公務員の日当水準を参考に、そこから大きく逸脱しない範囲で、会社の実態に合わせて設定することが、指摘されにくい方法とされます。
【実務上のヒント】 国家公務員の日当が2,000円~3,000円台(役職による)であることから、従業員は2,000円、役員は3,000円といった国家公務員並みの水準とし、社長だけは職責の重さを考慮し、少し色を付けて5,000円程度に設定するなどは、中小企業の旅費規程で一般的に多く見られる事例です。ただし、この金額はあくまで目安であり、貴社の実態を最優先してください。
ポイント2:役職や出張先によって支給額を明確に分ける
「すべての従業員に一律〇〇円」という設定は、税務調査官に「緻密に検討していない」という印象を与えかねません。
役職に応じた差をつける 社長・役員・部長・一般社員など、役職に応じた金額の差を設けることが一般的です。
出張先に応じた差をつける 近隣への日帰り出張、遠方への宿泊出張、海外出張など、出張の種別に応じて異なる支給基準を設けていることが、規程として合理性があると判断されます。
ポイント3:運用ルールを徹底し、証拠書類を残す
規程があっても運用実態が伴わなければ意味がありません。特に、出張が「職務のために通常必要なもの」であったことを証明するために、以下の運用ルールを徹底しましょう。
事前申請・事後報告を徹底する:
出張前に「出張申請書」(行き先、目的、期間)を提出させ、承認の記録を残します。
【特に重要】 帰社後には、必ず「出張報告書」を作成・保管しましょう。報告書には、「出張先で具体的にどのような業務を行ったか」を詳細に記載することが、出張の業務実態を証明する重要な証拠となります。この記録がないと、単なる旅行と見なされ、指摘を受けるリスクが高まります。
規程の承認記録を残す 旅費規程を作成・改定した際には、取締役会や株主総会などの議事録に承認の事実を記録に残しておきましょう。
3.旅費規程導入で社内コンプライアンスも向上
旅費規程は単なる節税ツールではありません。
経費精算の効率化 日当として定額を支給することで、出張中の細かな領収書が不要になり、経理の負担が大幅に軽減されます。
労使間の公平性 明確なルールがあることで、役員と従業員の間で、旅費精算に関する不公平感や疑念が生じるのを防げます。
記帳代行をメインとする会社としては、経理の効率化とコンプライアンスの向上という観点からも、経営者におすすめしたい重要なルールです。
まとめ:専門家と連携して安全性を高める
旅費規程は、経営者にとって非常にメリットの大きい節税策であり、キャッシュフローを改善する手段です。
税務調査で指摘されにくいようにするためには、専門知識に基づいた適切な金額設定と、厳格な運用体制がカギとなります。
まだ旅費規程を導入されていない企業様は、ぜひこの機会に、ご自身の会社の経営実態に合ったルールを整備し、賢い経営を目指しましょう。
【当ブログの読者へ重要なこと】
当ブログで提供する「税金」「経理」「会計」に関する情報は、一般的な知識の整理および実務経験に基づいたノウハウの共有を目的としております。
個別の税務相談、具体的な申告書の作成、税務判断の代理を行うものではありません。 実際の税務処理や節税策の適用については、必ずご自身の責任のもと、税理士または所轄の税務署にご相談ください。