【簿記2級知識で解決】個人事業主が経費に迷いがちな5つの勘定科目と仕訳例(2024年改正対応)
個人事業主の皆さん、今年も残すところあとわずかです。。。
年が明けるとすぐに確定申告ですが、確定申告前の帳簿付けで「これ、どの勘定科目で処理すればいいんだ…?」と手が止まった経験はありませんか?特に簿記の資格をお持ちの方は、試験で学んだ知識と、実務での複雑な取引との間でギャップを感じることが多いかもしれません。簿記2級の知識をベースにしながらも、実務で迷いやすい「個人事業主特有」の取引について、特に経費に迷いがちな5つの勘定科目をQ&A方式で具体的な仕訳例とともに解説します。
迷いを解消し、正確な経費処理を行いましょう!
Q1. 銀行の振込手数料はどの勘定科目にすればいい?
取先への支払い時や、売上金の入金時などにかかる銀行の「振込手数料」は、細かくて処理を忘れがちです。
A1. 支払手数料で処理します。
【ポイント】 金融機関への振込手数料、各種証明書発行手数料など、「サービスに対する対価」として支払う手数料は、基本的に支払手数料で処理するのが一般的です。
【仕訳例】 普通預金から振込手数料 ¥330 を支払った場合
処理の注意点
勘定科目に厳密なルールはありませんが、「継続性の原則」に基づき、一度決めたら翌年以降も同じ勘定科目で処理することが重要です。
Q2. 事業用のクレジットカードの年会費は何で処理する?
事業専用のクレジットカードを発行した場合、毎年かかる年会費は経費にできます。
A2. 支払手数料または諸会費で処理します。
【ポイント】
支払手数料: 銀行の振込手数料などと同様に、金融サービスに対する手数料とみなす。
諸会費: 協会や団体への会費と同様に、カード会社という組織に対する会費とみなす。
【仕訳例】 事業用クレジットカードの年会費 ¥11,000 が口座から引き落とされた場合
Q3. 事業用の書籍や電子書籍の購入費はどうする?
業務知識を得るために買った専門書や、情報収集のために購読した新聞などはどの勘定科目でしょうか。
A3. 新聞図書費または消耗品費で処理します。
【ポイント】
新聞図書費という勘定科目を設けて処理するのが最も分かりやすいです。
新聞図書費: 新聞代、雑誌、専門書、参考書、電子書籍の購入費など。
消耗品費: 10,000円未満のものや、ボールペン・コピー用紙などとまとめて処理したい場合に利用。
【仕訳例】 業務用の専門書を ¥3,500 で購入した場合
Q4. 【重要改正】取引先との飲食代は全て「交際費」?
取引先との会食や接待で発生した飲食代。全額経費になるか、勘定科目は何になるか迷うところです。
A4. 2024年4月1日以降、1人1万円以下なら会議費として全額経費にできます。
【ポイント】
個人事業主の交際費にはそもそも上限はありませんが、実務上、「会議費」として処理することで経費の妥当性を明確に示せます。
飲食の年月日
参加した事業関係者の氏名または名称・関係
参加者の人数
金額と飲食店の名称・所在地
Q5. 【自宅経費】自宅兼事務所の家賃・光熱費はどう処理する?
自宅を事務所として利用している場合、家賃や水道光熱費は事業とプライベートが混在しています。賃貸と持ち家で経費にできる内容が異なるため注意が必要です。
A5. 賃貸なら地代家賃、持ち家なら減価償却費などを使います。
(1)賃貸物件の場合
賃貸物件の家賃は、事業に使用した割合(按分比率)だけを地代家賃で処理し、残りのプライベート分は事業主貸で処理します。
【仕訳例】 自宅家賃 ¥100,000 を支払い、事業利用割合を 50% とした場合
(2)補足:持ち家の場合の経費計上(地代家賃は使えない)
持ち家の場合は「家賃」の支払いがないため、地代家賃ではなく、家を持つことで発生する費用を家事按分して経費にします。
まとめ:なぜ「継続性の原則」が大切なのか?
今回紹介した勘定科目の選び方や家事按分のルールなど、実務的な処理には迷う点が多くあります。そこで最も頼りになるのが、会計の一般原則の一つである「継続性の原則」です。
継続性の原則とは?
「一度採用した会計処理の原則や手続きは、正当な理由がない限り、毎期継続して適用しなければならない」という原則です。
なぜ個人事業主にとって大切なのか?
税務署からの信頼確保
年度によって処理方法(例:「新聞図書費」と「消耗品費」を毎年変える)がバラバラだと、「意図的に利益を操作しようとしているのではないか?」と税務署に疑われる原因になります。処理を統一することで、帳簿の信頼性が高まります。経営分析の正確性
毎年同じ基準で経費を計上することで、売上や利益の比較が正しくできるようになります。これにより、前年と比べてどの費用が増えたのか、経営状況の変化を正確に把握できます。事務作業の効率化
一度ルールを決めてしまえば、毎年迷うことなく、ルーティンとして迅速に記帳作業を進められます。
経費処理で迷ったら、「一度決めた勘定科目を、理由もなく毎年変更しない」という継続性の原則を守ることが、正確な確定申告への近道です。
今回紹介した具体的な勘定科目や仕訳例を参考に、ご自身の事業内容に合わせてルールを定め、正確な帳簿付けを心がけましょう!
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